小学校6年 板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 社会 板書シリーズ
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ページ数:272
「板書シリーズ 社会」の編著者である、国士舘大学教授、前文部科学省視学官
澤井陽介先生に「板書シリーズ 社会」の特徴や活用の仕方についてお話を伺いました。
社会科らしい「見方・考え方」とは…
私はよく研究会などで、「中学校の先生は“教科”の専門家で、小学校の先生は“教育”の専門家である」という話をします。
中学校の先生は専科ですが、小学校の先生はいろいろな教科を教えます。中学の教科書は専門性の高い資料集のようなイメージですが、小学校の教科書は問題解決の授業展開が分かるようにしながら、どんな先生方にも使いやすいように、汎用性高く作られています。
また、中学校の社会科では、世界の動きを背景に日本の動きを見るようになり、視野が広がります。また、歴史的に見る、地理的に見るなど、専門的に学問を背景とした見方、多面的、多角的な考察の仕方になっていきます。
一方、小学校の社会科では、地理的に見る、歴史的に見るという前の段階で、一つの地点だけ見ていると分からないけれど、「空間を広げて見る」と捉えやすくなるとか、一つの時点だけ見ていると分からないけど、「時間の経過で見る」とものごとの意義付けが分かるといった見方を大事にしています。これらが、中学校社会科の地理的分野、歴史的分野の学習につながります。
また、小学校における人と人や事象と事象との関係性、「つながり」を見ていくという見方が、中学校社会科の公民的分野につながっていきます。小学校の中学年ではこの「つながり」を複合的に見るのではなく、一つの立場に立ってしっかりと見ていきます。
小学校で「空間を広げて見る」「時間の経過で見る」「つながりで見る」という学び方を大事に授業展開し、問題解決を積みかさねることが、中学校の学習につながるということです。言い換えれば、それが社会科らしい「見方・考え方」だということになるのです。
社会科の学習評価
評価において大事なのは「目の前の子供たちにどういう人間に育ってほしいか」を考えることです。はじめに評価ありきで考えると、授業を定型化したり、パターン化したりしてしまう危険性があります。それでは本末転倒です。
この授業を通して、今回の学習指導要領のどの部分の資質・能力を身に付けさせようとしているのか、どんな力を育てたいのかを、先生自身が考えた上で評価をすればいいのです。これはどの教科にも言えることだと思います。
中央教育審議会答申でも複数の単元にまたがって評価してもいいとしているわけで、評価がはじめにありきではなくて、資質・能力ありきだと言っているのです。ですから1年間を俯瞰して、「この単元はこういうねらいでいこう」「この単元は子どもにうんと任せてみよう」といったメリハリがより大事になってきます。
社会科は、みんなで調べて考えて進めていく、集団思考の教科なので、子ども一人一人が自分の学習を振り返ったり、調べ方を考えたり、考え直したりする場面を、単元のどこで設定すれば一番自然な流れになるか、1年間を見通してどの単元でどの程度入れたらいいかなどと、知恵を働かせなければいけません。一様、一律にこれがいいというような授業の定形化を求めているわけでもありませんから、教師一人一人が考えるべきことなのです。
新しい「板書シリーズ」では、巻頭の理論ページに学習指導要領の趣旨を踏まえ、その学年で身に付けてほしい資質・能力や授業づくりのポイント、評価の進め方等をまとめています。本シリーズにはたくさんのヒントがつまっているので、ぜひ参考にしてみてください。「評価をしなくてはいけないからこういう授業をする」というのではなく、目の前の子どもにどう育っていって欲しいかがまず先にあって、それを具体的にイメージすることができれば、「ここでこそ評価すべきだ」という場面が分かると思います。
「板書シリーズ 社会」の活用法
私は教育学部を出ているわけではなく、最初は民間企業に勤めていて、その後に通信教育で教員になっていますから、教師になりたてのころは専門性が足りていないなかでいきなり全教科を教えなくてはいけませんでした。当時の私にとっては、教科書と指導書が頼りでした。そんな中で、社会科は逆に教科書を見ても、そのまま授業ができるようになっていなかったから、むしろ資料を中心に子供たちとやり取りしながら楽しくできたのです。
多分、先生方が一番基盤にするのは教科書だと思うのですが、社会科の教科書というのは汎用性を高くしてつくっていますので、教科書だけで1時間の問題解決の授業が満足できるようにできるかと言われると疑問です。だから「板書シリーズ」に載っているような事例をつまみ食いしながらやるとよいと思います。
「板書シリーズ」では見開き1時間で授業の流れがわかるようになっていて、どこでどんな目的でこの資料を使うか、活用するかということが分かりやすくなっています。
付属しているDVDには、そういった資料が収録されていたり、資料活用の仕方のヒントが載っていたりするので、それをぜひ併用しながら板書のイメージと併せて資料の使い方について考えていただくと参考になると思います。
ただ、いつまでも「板書シリーズ」に頼るだけの授業をやっていては駄目です。自分のライフステージを考えて、「板書シリーズ」をうまく使って積み上げていってもらうといいかなと思います。授業というのはこういう資料の出し方をして、こういう展開でこうまとめ上げれば一定の授業ができるのだということが「板書シリーズ」でわかったら、さらに地域や学校、子供たちの実態を踏まえ、そこに教師としての自分らしさを入れながら、目の前にいる子どもたちとの共同作業で板書計画を考えていって欲しいと思います。
指導書すら見ない先生がいるという話を聞くこともあります。春季、夏季、冬季の休業日を利用するなどして、先生方にはぜひ教科書や指導書に一回は目を通して頂きたいと思います。指導書をベースにしながら、自分なりに工夫するというステップを踏んでいくと、学習指導要領の言葉の意味がよく分かってくると思います。
はじめに
本書活用のポイント
第6学年における指導のポイント
第6学年で育成する資質・能力と授業づくりのポイント
主体的・対話的で深い学びを目指す授業改善のポイント
子供が見方・考え方を働かせる授業づくりのポイント
板書の工夫のポイント
学習問題とめあての設定のポイント
学習評価のポイント
1 わたしたちの生活と政治
1憲法と政治のしくみ 9時間
第1時 法やきまりについて振り返ろう
第2時 日本国憲法とはどのようなものだろう
第3時 国民主権について調べ、わたしたちと政治との関わりを考えよう
第4時 基本的人権の尊重について調べ、国民の権利や義務について考えよう
第5時 平和主義について調べ、人々の平和への願いを考えよう
第6時 国会の役割について考えよう
第7時 内閣の役割について考えよう
第8時 裁判所の役割や、三権分立について考えよう
第9時 学習問題について話し合い、まとめよう
2 みんなの願いを実現する政治 5時間
第1時 子育て支援に関わる疑問から学習問題をつくろう
第2時 市では、なぜ子育て支援を行っているのだろう
第3時 国や県、市役所、市議会はどのようなはたらきをしているのだろう
第4時 市で使う税金の仕組みはどうなっているのだろう
第5時 これまでの学習を振り返ろう
2 日本の歴史
1 大昔のくらしとくにの統一 6時間
第1時 大昔の遺物や想像図を見て、学習問題を見つけよう
第2時 縄文時代の生活の様子を調べよう
第3時 縄文時代から弥生時代の生活の変化について考えよう
第4時 吉野ヶ里遺跡を調べて、なぜむら同士が争ったのかを考えよう
第5時 古墳に葬られた人々の力の大きさや範囲について考えよう
第6時 大昔の人々のくらしの変化やくにの様子の変化についてまとめよう
2 天皇を中心とした政治 8時間
第1時 正倉院の宝物を見てみよう
第2時 飛鳥や奈良に都が置かれていた頃に作られたものを見てみよう
第3時 聖徳太子の業績を調べ、目指した国づくりを考えよう
第4時 中大兄皇子と中臣鎌足が目指した国づくりを考えよう
第5時 大仏づくりにこめた聖武天皇のねがいについて考えよう
第6時 大仏づくりの様子を調べ、その意味を考えよう
第7時 鑑真の業績を調べ、大陸から学んだ制度や文化を整理しよう
第8時 選んだ人物になりきってメッセージを書こう
3 貴族の文化 4時間
第1時 貴族のくらしの様子を見てみよう
第2時 貴族の生活について調べて、その特色を考えよう
第3時 平安時代と令和時代のつながりを見つけよう
第4時 貴族の生活と文化をキャッチコピーで表そう
4 武士による政治のはじまり 6時間
第1時 武士のやしき(想像図)を見て、武士について調べてみよう
第2時 武士について調べ、学習問題を考えよう
第3時 源氏と平氏がどのような戦いをしたのか調べよう
第4時 源頼朝はどのような政治を行ったのだろう
第5時 鎌倉幕府は元とどのように戦ったのだろうか
第6時 学習問題について話し合い、自分たちの考えをまとめよう
5 室町の文化 6時間
第1時 金閣と銀閣は、だれが建てたのだろう
第2時 書院づくりについて調べ、学習問題をつくろう
第3時 雪舟はどんな人物だろう
第4時 雪舟はどのようにして水墨画を完成させたのだろう
第5時 「室町の文化」と現在とのつながりを見いだそう
第6時 室町の文化の特色を確かめ、現在に受け継がれていることに
ついてまとめよう
6 戦国の世の統一 5時間
第1時 安土桃山時代の人々のくらしの様子や出来事を見てみよう
第2時 長篠の戦いについて調べ、学習問題をつくろう
第3時 織田信長について調べ、時代の変化を考えよう
第4時 豊臣秀吉が天下を統一した様子について調べよう
第5時 戦国の世の統一に果たした信長と秀吉の役割をまとめよう
7 武士による政治の安定 6時間
第1時 大名行列の絵図から幕府と大名の関係について考えよう
第2時 徳川家康は、どのようにして全国を支配する仕組みをつくったのだろう
第3時 江戸幕府の大名に対する政策を調べよう
第4時 江戸幕府による身分制度について調べよう
第5時 江戸幕府の対外政策について調べよう
第6時 学習問題について考えたことを表現して話し合おう
8 江戸の文化と学問 6時間
第1時 江戸の文化の評価を知り、江戸の文化への関心を高めよう
第2時 江戸時代には、どのような文化や学問が発展したのだろう
第3時 歌舞伎や浮世絵について調べ、発展に尽くした人物の業績を考えよう
第4時 国学について調べ、発展に尽くした人物の業績を考えよう
第5時 『解体新書』について調べ、発展に尽くした人物の業績を考えよう
第6時 どのようにして文化や学問が発展したのかについて話し合おう
9 明治の新しい国づくり 7時間
第1時 黒船の来航で世の中はどのように変化したのだろう
第2時 江戸から明治にかけて、どのように世の中は変わったのだろう
第3時 幕府を倒した明治政府がどのような国づくりを目指したのか考えよう
第4時 四民平等について調べ、明治政府がどのような国づくりを目指したのか考えよう
第5時 文明開化により、人々の生活はどのように変化したのか考えよう
第6時 新政府への不満が高まった理由を考えよう
第7時 明治政府の政策により、日本はどのような国になったのか話し合おう
10 条約改正と国力の充実 9時間
第1時 条約改正について問題を見いだし予想を出し合おう
第2時 自由民権運動の進展について調べて考えよう
第3時 憲法制定に向けた人々の努力を調べよう
第4時 国会がどのように開かれたのか調べよう
第5時 日本がどのような国づくりを目指したのか調べよう
第6時 日清・日露戦争について調べよう
第7時 条約改正や科学の発展について調べよう
第8時 日本の近代化にともなう、世の中の動きを調べよう
第9時 学習問題に対する自分の考えをまとめよう
11 アジア・太平洋に広がる戦争 8時間
第1時 第1次世界大戦後の日本の様子を見てみよう
第2時 深刻な不景気な中での人々のくらしの様子を調べよう
第3時 満州を手に入れようとした日本が歩んだ道について調べよう
第4時 戦争が広がっていった理由について調べよう
第5時 戦争中の人々のくらしについて考えよう
第6時 戦争中の子供たちの様子について調べてみよう
第7時 空襲や沖縄戦、原子爆弾によって日本が受けた被害について考えよう
第8時 学習してきたことを新聞にまとめ、学習問題について話し合おう
12 新しい日本のあゆみ 9時間
第1時 終戦直後の日本の様子を調べよう
第2時 日本は、国のしくみをどのように変えたのだろう
第3時 日本は、どのようにして国際社会に復帰したのだろう
第4時 家電製品の普及の推移から当時のくらしを考えよう
第5時 東京オリンピックの頃の日本の様子を調べよう
第6時 日本が復興するまでの課題を調べよう
第7時 世界の仲間入りをした日本の歩みをまとめよう
第8時 日本の課題を調べてこれからの日本について話し合おう
第9時 歴史学習を振り返って、歴史を学ぶ意味を考えよう
3 世界の中の日本
1 つながりの深い国々のくらし 6時間
第1時 日本とつながりの深い国に目を向けてみよう
第2時 自分が選んだ国の人々のくらしを調べよう
第3・4時 自分が選んだ国の人々のくらしを調べ、まとめよう
第5時 日本とつながりの深い国の人々のくらしについて紹介し合おう
第6時 外国の人とよりよく交流していくために大切なことは何だろう
2 明日の世界と日本の役割 5時間
第1時 世界にはどのような課題があるのだろう
第2時 世界の課題を解決するために、国際連合はどのようなことをしているのだろう
第3時 青年海外協力隊はどのような活動をしているのだろう
第4時 青年海外協力隊で活動する人々はどのような思いや考えをもっているのだろう
第5時 学習を振り返り、日本の役割について考えをまとめよう
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